idea factory from newspaper 2003 6 25

落ちてくるナイフ( knife and knight )
 昨日の国際優良銘柄の日足チャートを見たでしょうか。
そして、日足の形をどう見たでしょうか。
落ちてくるナイフに見えませんか。
 さて、落ちてくるナイフをいつ拾うか。
常識的には、地面に落ちてから、拾うことになる。
地面とは、25日移動平均線のことです。
あるいは運が悪いと、銘柄によっては、
75日移動平均線になってしまうかもしれない。
 このように、落ちてくるナイフをつかむのは、
常識的には、地面に落ちてからかもしれないが、
剣の達人ならば、落ちてくるナイフを、
落ちる途中で、つかむことができるかもしれない。
 さて、値下がり率のランキングのなかで、
国際優良銘柄で、絞ってみる。
確かに、日足の形が、落ちてくるナイフに見える。
 さて、いつ、つかむか。
落ちてくる途中をつかむか。
地面に落ちてから、つかむか。
 剣の達人ならば、落ちてくる途中をつかむが、
99%は、剣の達人ではない。
 剣の達人でないならば、どうするか。
以前、投資資金は、100%つぎ込んではいけない。
いつも、20%ぐらいは、余裕資金を残しておくべきであると書きました。
こんな時に、この余裕資金の出番になる。
 もちろん、業績も良好で、将来も有望な国際優良銘柄に絞ったからといって、
たくさん買っては、リスクが非常に高い。
 試し買いをすることである。
本来ならば、1000株買うところを、
100株買って、試してみることである。
失敗すれば、すぐ撤退すれば、軽症で済む。
 しかしながら、一般庶民にとって、
100株でも、国際優良銘柄は株価が高く、大金になる。
1株とか、7株とか、少ない株数では、買えない。
売買単位株制度という規制があるからです。
 この単位株制度というものが、
一般庶民が株式市場に参入する時の、大きな参入障壁になっている。
国際優良銘柄は、売買単位が100株となっていることが多い。
一般銘柄に至っては、売買単位が1000株となっていることが多い。
 これが、一般庶民にとっての大きな参入障壁になっている。
これでは、一般庶民は、株式市場には参入できない。
株式市場に参入できるのは、資産家だけである。
 今年の1月から見ると、平均株価の上昇が鈍いが、
個別の銘柄を見ると、株価が2倍近くになった銘柄は多い。
しかし、この恩恵を受けたのは、資産家だけである。
売買単位という制限があるため、一定の資産がないと、
株式市場には、参入できない。
 資産家は、1年の儲けを、この半年で稼いでしまったというケースも多い。
確かに、個別銘柄を見ると、今年の1月から、新高値が、連日、続出して、
チャートを見ても、ほとんどの銘柄が上昇している。
1月からのチャートを見て、上がっていない銘柄を探すのが、困難な状態となっている。
これは、週足のチャートブックを1冊買って、眺めてみれば、よくわかる。
上がっていない銘柄を探すのが大変でしょう。
 だから、1月の時点で、網で魚を獲るように、
適当に5銘柄ぐらい買っておいても、儲かったのです。
 しかし、これができるのは、
売買単位という制限があるために、
一定の資産がある人達です。
適当に選んだ低位銘柄でも、売買単位が1000株という規制があるので、
資金は、100万円以上必要になる。
今年の1月からの個別銘柄の株価上昇で、資産家達は大いに儲かり、
今年の1月からのデフレとリストラの進行で、一般庶民は大いに苦しむことになった。
 一般庶民は、株というと、平均株価しか知らないので、
個別の株価がどうなっているかを知らない。
週足のチャートブックを1冊買って、眺めて見ると、
今年1月の時点から、1円でも上昇した銘柄は、大部分の銘柄に渡っている。
そして、配当金を支払った企業も、大部分の銘柄に渡っている。
この配当金の利回りは、利子にして、1%以上の企業が、比較的多い。
しかし、以上の恩恵を受けたのは、一定の資産がある人達だけである。
売買単位という規制があるので、一般庶民には無縁の話となってしまった。
 さて、ほとんどの銘柄が上昇してしまった現在では、
1月の投資環境より、投資テクニックが必要となる。
株価が1月から長く上昇してきたので、
上がりすぎた銘柄もあり、高値での波乱も、十分、あり得る。
こういう状況では、投資テクニックが勝敗を分ける。
1月の時点の方が、投資は楽だったのです。
適当に、業績の安定している銘柄を買っておけば、
ほとんどの銘柄が上昇したのですから。

売買単位が、資産家と一般庶民を分けるモノサシなのです。
売買単位が、1000株以上とか、100株以上という規制があるので、
庶民は、排除されてしまうのです。
今後、株価が、もし、大きく上昇することがあると、
資産家は、大いに資産を増やし、
一般庶民は、売買単位という規制によって、市場に入ることを制限され、
リストラや給料カットに苦しむという結果になるのです。
この売買単位という制度は、階級社会を作り出す道具となるのです。